大人になって初めて気付く味わい



味覚には初めて口にした時から「美味しい」と感じられる先天的なものと、何度も繰り返し口にするうちに素晴らしさに気づく後天的なものがあると思います。
大人が普通に口にするコーヒーやビール、ワインも、子供の頃に口にした時は、その「苦み」や「えぐみ」「渋さ」に、二度と飲まなくてもいいと感じたのではないかと思います。

音楽で言えばジャズがその典型でしょうか。
でもわたしはクラシックもその一つなのではないかと思っています。

もちろん初心者(子ども)でも楽しめる曲はたくさんありますが、その多くは少し古臭く、決して「甘い」「優しい」味ではありません。
実を言うと、わたしは大人というかシニアになってから「ブルグミュラー」の魅力に気付きました。曲集を買い直して、ゆっくり(楽譜表記を無視して)噛みしめるように弾いています。コード理論に強くなった今だからこそ、和声の美しさに改めて気付いたのです。
練習曲として弾かされていた時には、この素晴らしさに気付かなかったのですから皮肉なものです。

何十年も寝かした芸術品のようなワインの味を子どもに理解しろというのは無理があります。もちろんごく稀にそういう天才はいるのかもしれませんが。
普通は葡萄のフレッシュジュースの方が美味しいと感じると思います。

音楽は一部の才能ある人のためにあるのではありません。むしろ普通の日常を送りながら楽しむ人、人生の友達みたいに寄り添っている人のためにあるものだと思っています。

音の集まりでしかない「音楽」というものに意味をもたらすのは想像力です。
あなたは何を思いながらピアノを奏でたのか。
誰に捧げようと弾いたのか。
そこに大人にしかない味わいがきっとあるはずです。

最初は自分に聴かせてあげて下さい。きっと喜びます。


中村
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