電子ピアノvs電気ピアノvs生ピアノ③

第三回 電子ピアノ

電子ピアノは音源がデジタルで生ピアノをサンプリング(録音)した音を鍵盤をトリガーにして鳴らすものです。グランドピアノからアップライトまで様々な種類の世有有数の名器と呼ばれるピアノが丁寧に録音してあり、鍵盤の微妙なタッチも再現します。

確か最初の電子ピアノはKurzweil K250(1984年)、スティービー・ワンダーの要望で作られたそうです。試奏してみてビックリした覚えがあります。お値段は300万円!ほどだったと思います。
当時コンサートホールでどちらが本物のピアノか目隠しをして聴き当てる企画が催されました。ほとんどの人が判らなかったといいます。

しかし弾き心地や共鳴など、まだ不満が少なくありませんでした。

電子ピアノは生ピアノとの違和感を無くすための改良を重ねます。今では88鍵の一音ずつ調律(ユニゾンをずらすことも出来ます)調音出来るようになっています。視覚的な違和感を無くすために生ピアノのような筐体を持ったものもあります。

電子ピアノと生ピアノのどちらが優れているのか?と言う議論には意味がありません。
適材適所で使い分ければいいのではと思います。
ポピュラーミュージックやジャズなどの軽音楽には、電子ピアノの持つ利便性はは欠かせないものです。

電子ピアノの弱点は音を出すためにスピーカーやヘッドフォンを介在しなければならないことです。
録音スタジオなどの調整されたスピーカーで生ピアノと同じ音圧で鳴らすと、優れた耳を持ったピアニストでも違いが分からないほど素晴らしい音が鳴っています。
それもそのはずです。買えば○千万もする世界の超高級ピアノをプロのエンジニアが丁寧に録音してあるのですから。

でも大切な音を再生する装置が貧弱だと、その素晴らしい音を再現出来ません。
ここに大きなジレンマがあります。電子ピアノは生ピアノのような音が出ないと言われる所以です。

ところで、
つい最近スタインウェイが80年ぶりに新作ピアノを発表しました。
実はこのピアノ、ピアノの音源(本体)は何も改良されていません。自動演奏機能が新しく付けられました。
その操作にはiPadを利用するとのことです。
グールドの演奏するバッハの「ゴールドベルク変奏曲」や、ラン・ランの演奏するショパンの「子犬のワルツ」、ミケランジェリのショパンなどをデジタルで完璧に再現するのです。
これはレコードやテープが、CDになりネットの音源配信になった事と似ています。
テクノロジーが録音の手法を変えたように、楽器の音も変えつつあります。
音楽は時代と共に変わるのです。

クラシック音楽が生ピアノ等で作曲され表現されてきたことを考えると電子ピアノを選ぶ理由がありません。クラシックピアノを極めたいと思っているピアニストは生ピアノを選ぶべきだと思います。

ただ気をつけて頂きたいこともあります。

「まだ電子ピアノですか?お子さんの情操教育のためには生ピアノは必須ですよ」
なんて、ピアノ教室から言われたことありませんか?
調律や調整が適切でない生ピアノだったら、クオリティの高い電子ピアノの方が子供さんの耳のためには良いと思います。

決して見栄を張ることなく、よく考えてから生ピアノを導入して下さいね。

電子ピアノはこれからのピアノとして愛用されていくことは間違いないでしょう。

中村 浩





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